寒さが厳しい期間が長い北海道の空調は、暖房が主で化石燃料を使用するボイラーや蓄熱暖房機、パネルヒーターなどが採用されていましたが、近年ヒートポンプ式の空調システムを活用した暖房の暖かさの質やコストパフォーマンスの良さが注目されています。
ここでは、ヒートポンプの仕組みや種類について詳しく解説します。
ヒートポンプとは、空気中の熱や地中熱など再生可能エネルギーや未利用エネルギーを利用して温熱や冷熱を作り出す機械を指し、代表的なものにはエアコンがあります。使用する建物の規模や利用するエネルギーの違いによって様々な種類のシステムがあります。
ヒートポンプは、気体の「圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質」を利用して温度上昇と温度低下を機械の中で繰り返し循環する仕組みになっています。熱を作り出すシステムとは異なり、気体の性質を利用して移動させるだけですので、少ないエネルギー消費で快適な空間を作り出すことができます。
熱の移動の媒介する冷媒と呼ばれる部分には、代替フロンや二酸化炭素などが使用されています。
ヒートポンプシステムの種類は、蓄熱や地中熱など利用するエネルギーの違いや、個別分散、セントラル方式など建物の規模によって様々な種類がありますが、大別すると圧縮式と吸収式の2種類に分けられます。それぞれの仕組みについて詳しく解説します。
圧縮式のヒートポンプは、圧縮されると温度が上昇し、膨張する際には温度が低下するという気体の性質を利用して熱を移動させる仕組みになっています。主に空気熱をエネルギーとして利用するシステムです。電気モーターやガスエンジンなどの動力源を利用して気体を圧縮し、家庭用や業務用の冷暖房器具や給湯機器にと幅広く活用されています。
ガスの従来給湯器や電気ストーブからヒートポンプ式に置き換えることで、70~80%の省エネ効果が期待でき、環境にも優しい住宅設備として注目されています。
吸収式ヒートポンプは、「蒸発」「吸収」「再生」「凝縮」のサイクルによる水の気化熱を利用して熱を移動させる仕組みになっています。水蒸気や高温水などをエネルギー源として利用し、電力は補助源としていますので、電力消費量を抑えることができるという特徴があります。
工場や地域熱供給に利用されることが多いタイプのヒートポンプで、一般的なヒートポンプが空気熱を利用するのに対して地中熱や水源熱、太陽熱を利用することも可能なシステムです。
北海道では、暑さを感じるほどストーブをつけて、その周辺に家族が集うというスタイルを好む人も少なくありません。
ヒートポンプ式の暖房は強烈な暖かさをもたらすものではありませんので、寒冷地の厳しい寒さには物足りなく感じるかもしれませんが、室内全体をじんわりと十分暖めることができますのでおすすめです。ビルや一般の戸建てなど建物の種類によって個別分散型やセントラル式など多彩なシステムがあります。
ヒートポンプは、空気熱や地中熱、水蒸気など気体の性質を利用した再生可能エネルギーを使用して、冷暖房や給湯器に活用できる空調システムです。新たに熱を生み出すのではなく、必要な場所に移動させるシステムであるため、電力コストの大幅な削減も期待できます。
暑すぎる暖房を一か所に集中させることなく、建物全体をじんわりと暖める空調は寒さの厳しい寒冷地にもおすすめの設備といえるでしょう。